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『初期歌舞伎・琉球宮廷舞踊の系譜考―三葉葵紋、枝垂れ桜、藤の花―』刊行!児玉絵里子さんインタビュー

 

平良英之
はいさい!東京うちなんちゅ会の平良英之です。

 

今回は琉球芸能の研究者、児玉絵里子さんが刊行された『初期歌舞伎・琉球宮廷舞踊の系譜考―三葉葵紋、枝垂れ桜、藤の花―』(錦正社)についてご紹介します。

琉球の時代から伝わる沖縄伝統芸能の価値、またそれが日常の中に浸透する沖縄の素晴らしい文化的特質を伝える書籍となっております。

児玉さんへのインタビューや書籍発売イベントの模様以下にお届けします。

 

<ご案内>

 

児玉絵里子さんの略歴

児玉絵里子

 

ーまず児玉さんの略歴、本書を制作した経緯を教えていただけますでしょうか

琉球芸能研究に取り組んでいる研究者で、文学博士です。

東京都の出身なのですが、幼いころから東京の尚家関係者にとても可愛がっていただいたご縁で沖縄研究を志しました。

今年の7月に単著『初期歌舞伎・琉球宮廷舞踊の系譜考―三葉葵紋、枝垂れ桜、藤の花―』(錦正社)を刊行しました。


 

 

※ジュンク堂書店のオンラインコンテンツに、12月10日に那覇店で開催した沖国名誉教授の狩俣恵一先生とのトークイベントの模様

 

これまでに他に2冊の単著を刊行しておりまして、2冊目の単著『琉球紅型』の業績によって第10回木村重信民族藝術学会賞を受賞しています。

 

1冊目の単著:『図説 琉球の染めと織り』河出書房新社・2005年
2冊目の単著:『琉球紅型』ADP・2012年

 

この2冊はすでに沖縄県内の複数の図書館に収蔵されていて、第10回木村重信民族藝術学会賞の受賞についても琉球新報・沖縄タイムス両紙でご紹介いただきました。

また研究者としてはこのほかに研究者の登竜門とされる「三菱財団人文科学研究助成」で、平成30年(第47回)に採択されています。

 

初期歌舞伎と琉球宮廷舞踊を初めて体系的に比較

 

ー本書のメインテーマについて教えていただけますか

ひと言で言えば「初期歌舞伎と琉球宮廷舞踊の共通点や相違点を考察すること」です。

「初期歌舞伎」は阿国歌舞伎・遊女歌舞伎・若衆歌舞伎・野郎歌舞伎の総称です。歌舞伎の歴史のなかでは、いわゆる黎明期にあたります。

「琉球宮廷舞踊」については、現在の琉球舞踊は大きく「古典舞踊」「雑踊」「創作舞踊」の3つに大別されます。

このうちの古典舞踊が、本書のタイトルに掲げる「琉球宮廷舞踊」にあたります。

古典舞踊はさらに、老人踊・若衆踊・二才踊・女踊に分類されます。

古典舞踊は琉球王府の踊奉行(おどりぶぎょう)に任命された玉城朝薫(たまぐくすちょうくん)(1684~1734)らによってその基礎が固められたといわれています。

琉球王国時代、古典舞踊の担い手は、士族とその子弟でした。

初期歌舞伎と琉球宮廷舞踊のまとまった比較対照研究は、これまで存在しませんでした。

本書はともに実態や成立過程があきらかでなかった初期歌舞伎と琉球宮廷舞踊について、初めて詳細に比較対照した研究書です。

 

日常に溶け込む沖縄芸能の素晴らしさを伝えたい

講演会後にお客様と

トークイベント終了後にご来場者の方と

 

ー本書で最も伝えたいこと、感じていただきたいことは何でしょうか。

琉球宮廷舞踊の美しい所作や型、紅型踊衣裳の意匠(模様)が、遠い歴史の彼方の、江戸時代初め頃から受け継がれてきた重要な歴史的遺産であることを少しでも多くの方々に知っていただきたいです。

さらに、こうした重要な伝統芸能(琉球宮廷舞踊)が沖縄では日常のなかに浸透していて、一般の市民の方々が身近に古典芸能に親しんでいるという点は、沖縄のとても素晴らしい文化的特質だと思っています。

 

ー動画後半でお話されていた児玉さんの沖縄愛と「文化を大事にして、文化が日常の中にあるのが沖縄らしさ、素晴らしさ」という言葉に感動しました。児玉さんの沖縄への思いを改めて教えていただけますでしょうか。

私にとって沖縄はかけがえのない故郷であると同時に「本当にたいせつなものは何か」を教えてくれる場所です。

今は内地で研究に取り組んでいますが、恩師や応援してくれる方々のことをいつも思い出し元気をもらっています。

これからも、沖縄文化の継承にすこしでも役立つ仕事ができればと思っておりますので、みなさまの応援をどうぞよろしくお願いいたします!

 

児玉絵里子

児玉絵里子(こだま・えりこ)

博士(文学、早稲田大学)。早稲田大学大学院文学研究科芸術学(美術史)修士課程修了。 沖縄国際大学南島文化研究所特別研究員。元一般財団法人沖縄美ら島財団 学芸員(財団法人海洋博覧会記念公園管理財団学芸員)。元ドナルド・キーン・センター柏崎 学芸員。

著書に『琉球紅型』(株)ADP・2012年、『図説 琉球の染めと織り』(株)河出書房新社・2005年ほか。 第十回木村重信民族藝術学会賞受賞。第47回(平成30年度)三菱財団人文科学研究助成採択。

琉球紅型を国指定重要無形文化財「紅型」保持者(人間国宝) 玉那覇有公氏、沖縄県指定無形文化財「びん型」保持者 玉那覇道子氏に、 琉球芸能研究を沖縄藝能史研究会会長當間一郎氏に、 琉球舞踊を国指定重要無形文化財「琉球舞踊立方」保持者(人間国宝)宮城幸子氏に、 歌三線を国指定重要無形文化財「組踊音楽歌三線」保持者(人間国宝)西江喜春氏に師事。幼少期から、琉球王国最後の国王尚泰王の御令孫 根岸(尚)常子氏の知遇を得る。

【Twitter】https://twitter.com/ryukyu353

【Facebook】https://www.facebook.com/profile.php?id=100012214488262

【研究者ホームページ】https://researchmap.jp/read0144449

 

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