
このたび一般社団法人「エーシーオー沖縄」の沖縄本土復帰50周年企画として舞台演劇「島口説(しまくどぅち)」が東京公演されることが決定しました(5月13日〜20日)。
そこでこの公演に携わる琉球舞踊家の仲里綾香(なかざと・あやか)さんにインタビューをさせていただきました。
この記事では仲里さんのご紹介や「島口説」という作品の魅力をお伝えいたします。ぜひご覧ください。

<ご案内>

「島口説(しまくどぅち)」とは?


沖縄の歴史と現代をかけ合わせた演劇を得意とし、舞踊劇や歴史ものなど様々な舞台制作を行っております。
沖縄の芸能関係者には昔から広く知られており、人間国宝の先生方から若手までとても信頼されている団体です
また代表の下山久(しもやま・ひさし)は様々な海外のフェスに出向いて世界中にネットワークを持っており、「りっかりっか*フェスタ(国際児童青少年演劇フェスティバル)」という、毎年沖縄で開催されるファミリーのための国際舞台芸術フェスも手掛けております。
エーシーオー沖縄の作品や世界各国の作品が上演されるりっかりっかフェスタは「大きな学園祭」のようなイメージで考えていただければわかりやすいかと思います。
私はもともとNHK「沖縄の歌と踊り」という番組で沖縄芝居の役に選ばれまして。初めてお稽古に通わせてもらったのがエーシーオー沖縄だったんです。
そこで代表の下山が私を見て「面白い人が来た」と思ってもらえたようで、エーシーオー沖縄の作品に出演者として呼んでいただいたのが関わるきっかけとなりました。


※仲里さんの詳しいプロフィールはこちらへ
私はエーシーオー沖縄には座友のような立場(フリーアーティストの立場で舞台出演したり、企画・制作を手伝う親しい友人)で関わっております。
今回の公演に関しては応援団、東京公演広報担当者として動いております。


謝名元慶福(じゃなもと・けいふく)さんが自身の体験などをもとに書き上げ、どう届けるかということで、より伝わりやすい演劇という形になったと伺っております。
「島口説」は最初、北島角子さんの一人芝居として始まりました。海外を含めて300回以上の公演が行われており、現在の二人バージョンになったのは2018年6月からで、今まで13回の公演が行われています。
この演劇は公開されると沖縄県内のみならず全国で評判を呼び、1981年には文化庁の芸術祭優秀賞も受賞しています。
そして沖縄の本土復帰50周年企画として「島口説」の東京公演が企画されました。
島口説(しまくどぅち)
泣いて 笑って
笑って 泣いて
島人ぬ物語
米軍基地の街
沖縄市にある一軒の民謡酒場。
店で働く二人の女が独特の
ウチナー大和口で客たちに語りかける。
「私の話を聞かないと 本当の沖縄のことはわかりませんよ」
そう前置きして語り出したのは・・・
巨大なアメリカに立ち向かった小さな島人の歌。
沖縄の戦後史
知られざる「戦後の沖縄」を伝える作品


平和学習を通じて沖縄戦についてはそれなりに知ってるつもりでしたけど、そこから先の戦後、本土復帰の話って意外と私たちでも知らないことが多かったのだなと痛感しました。
自分のルーツをちゃんと知らなかったなって。
「島口説」はすみこという人物を軸にして話が進むのですが、旦那さんが「戦争でひとりになったけどすみこと結婚して家族ができた、ひとりじゃなくなった」という言葉がとても響きましたね。
すべてを失ったけど希望が少しずつ生まれていく。
「日本は、沖縄はアメリカに守られた」という方もいて、確かにその一面はあるかもしれないけど、その一方で私達の入ってはいけないところまでアメリカが迫っていたんだなと。
アイデンティティが失われるほど、アメリカ統治の時代ってすべてが荒らされていたんだなと。
軍人さんをすべて悪い人とするわけではないけれど、戦争に行くストレスを持ち込んでくる人もいて、そこで沖縄の人々がひどい目にあったり。
「沖縄を返せ」という歌があるんですよ。歌は知ってはいたけど「こういう強い思いで歌っていたんだな」とわかる場面も出てきます。
今は「沖縄の人は明るい」と思われていてそれは良いのだけど、「なぜ笑ってるのか?」ってところを知ってもらいたいです。
なぜ悔しくても悲しくても笑っているのか?「島口説」を見ればわかると思います。
またウチナーグチもたっぷり聞けて、なおかつ標準語で訳されてるので言葉遊びとしても誰でも楽しめると思います。
重い内容もありますけど、飽きずに惹き込まれていくと思います。これを見れば沖縄の心もわかると思います。
いろいろな方に見てもらいたいし、こういう時代があったと体感していただけるとまた沖縄に対して見える景色が変わってくると思います。

「島口説(しまくどぅち)」東京公演情報
※画像クリックで拡大
■日時
2022年 5月
13日(金)19:00
14日(土)14:00
15日(日)14:00
16日(月)14:00
17日(火)休演
18日(水)14:00
19日(木)14:00
20日(金)19:00
■会場
R’sアートコート
東京都新宿区大久保1-9-10(労音大久保会館)
■入場料
前売大人:4,000円
前売りU30:3,000円
ACOフレンド:3,500円
当日(大人・U30)チケット:500円増し
※未就学児入場不可
■プレイガイド
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公演の詳細はエーシーオー沖縄HPへ

沖縄県宜野湾市出身。玉城流踊ぃ飛琉教師 沖縄県立芸術大学琉球芸能専攻卒業後、国立劇場おきなわや県主催公演に多数出演。 ヨーロッパ3大演劇祭であるイギリスエディンバラ演劇祭(2015)とフランスアヴィニョン演劇祭(2014) に歌舞劇「沖縄燦燦」で参加し五つ星を獲得。 藤井ごう演出の「洞窟」(がま)や「Gauche〜フェンスの向こう〜 」など演劇にも出演するなど幅広く活動。 現在は、関東を拠点に活動中の琉球芸能実演家団体「琉球の綾音」や銀座わしたショップにて琉球舞踊教室を開催中。