インタビュー

「やりたいことを周囲に真剣にアピールする」小谷貴俊さんの仕事論(飲食事業経営)

小谷貴俊さんの仕事論

そう語るのは小谷貴俊さん。

スポーツに熱中した少年時代、親のありがたみを感じた一人暮らし、ずっと興味のあった飲食事業での独立を果たして実感した「やりたいことを周囲にアピールする重要性」、次世代へのメッセージを教えていただきました。

(更新日:2019年10月4日)

 

<ご案内>

 

バスケに熱中した小中時代

小谷貴俊さん

 

―現在のお仕事について教えてください。

飲食店運営や移動販売、ケータリング、福利厚生施設の運営など、飲食に関する事業をおこなっています。事業を通して皆様に幸せを提供することを目指しています。

―沖縄ではどんな日々を送っていましたか?

父親が小学校の先生でバスケットボール部のコーチをしていたこともあり5歳からバスケットをやっていました。

母親が6人姉妹で毎週土日は家族や親戚総出で祖父のサトウキビ畑の収穫を手伝うなどして大家族で過ごしていた思い出があります。核家族が増えている時代に家族や地元の絆の強さを感じて過ごしていました。

中学でもバスケットをやっていましたが別の中学の同級生に後にプロ入りする狩俣昌也(現・Bリーグ1部滋賀レイクスターズ)がいてジュニアオールスターにも選ばれるスター軍団。

僕らの中学もなんとか頑張っていましたが、対戦したら上には上がいるんだと痛感しましたね(笑)。そんな事もあって、バスケットでは上を目指さずに高校では理数科に進みました。

朝7時過ぎから授業がある「ゼロ校時」があるなど勉強も大変でしたが楽しかったですね。でも試験が終わると友達と夜遅くまで遊んだりして普通の高校生でした。

―上京のきっかけを教えてください。

親が教師だったこともあり自分も教育者の道に進むのは当たり前だと思っていました。

また高校の親友と卒業したら一緒に東京に行きたいねと話していて運よく指定校推薦を使って東京の大学で教育心理学科に進むことができました。

 

親のありがたみを痛感した一人暮らし

小谷貴俊さん

 

―念願の東京での暮らしはどうでしたか?

東京といっても僕の大学は都心から電車で1時間の山の上に立つキャンパスで正直驚きましたね。ここ東京!?と(笑)真冬には零下まで気温が下がるところで寂しい場所でした。

中・高の同級生も上京していたので1年生の頃は毎週末会っていました。 八王子で一人暮らしをしていましたが、掃除や洗濯も一人でやらないといけない。改めて親のありがたみを実感しましたね。

アルバイトも当然やりました。飲食店やコールセンター、ホテルの厨房で材料の下ごしらえなどをやっていて、この時に料理の楽しさに目覚めました。

これは余談なのですが、大学2年生の時にレンタカーを借りた時に数千円の保険料をケチって無保険の状態で自損事故を起こしてしまいました。修理費用は10万円。親に迷惑もかけたくないので当然自分で払おうと。

幸いにもレンタカー会社の人が親切で分割での支払いを承諾してくれたので毎月1万円ずつ返済していました。

それでもお金のない学生にとっては死活問題ですよ。家賃や光熱費、電車代を引くと1日500円生活。バイト先のまかないもあったので餓死だけは避けられましたが、お金の大切さを身をもって感じる出来事でした。

 

教育の道から人材派遣会社へ

―大学卒業後の進路については?

正直、教員の道に行くべきかどうか悩んでいました。飲食への興味がそれぐらい大きくなっていたのです。

それでも両親への感謝もあったので教育実習にも行き、もやもやしたままですが教員試験も受けました。

その時大学で就職セミナーがあって興味本位で人材派遣会社の説明を受けたんですね。そこが初めての民間企業との接点だったのですが、その担当者がとても素敵な方で輝いて見えました。

自分もこんな世界で働いてみたいなと思っていたタイミングで教員試験が不合格となってしまいました。

その担当者の方に相談をしたら様々な理由があって就職活動が出来なかった学生を対象にしたフレッシュキャリア社員制度というのがあると教えられて、無我夢中で応募し採用となりました。

両親には事後報告という形で伝えたところ最初は驚いていましたが、ここで頑張らせて欲しいと真剣に気持ちを伝えたら背中を押してくれました。

 

飲食業への興味が形に

―東京で踏み出した社会人生活はいかがでしたか?

契約社員として営業チームに配属されましたが全く新しい世界が広がっていましたね。

1年目は先輩について色んな業界の方とお会いすることができ、社会人としての素養など色んな勉強をさせてもらいました。

同時に飲食への興味はより強くなりました。友人の楽しい酒席を囲んでいる時は自分でもこんな空間を作り出せたらいいなと考えていました。

すると不思議なものでグループ会社に飲食の福利厚生施設を運営する社長さんを上司が紹介をしてくれて、自分の思いを伝えたらとんとん拍子に話が進んでそこで店長として働くことになりました。

やっぱりやりたいことを周囲に伝えるということは大切ですね。

社員向けのカフェや飲食店で取締役会への朝食ケータリングや会食を担当することになりました。朝6時から夜1時ごろまでがむしゃらに働きましたが、好きな仕事をやっているので不思議と辛いと感じることはありませんでした。

将来は独立をという夢があったので4年間マネージャーとして働き、飲食業の経営のいろはを習得することができました。

 

無計画での出店で失敗。しかしチャンスも!?

―念願の独立を果たされるわけですね。

沖縄から高校の同級生が上京してきて「一緒に夏の海の家を出さないか?」と声をかけられて、2ヶ月限定で出店を決めました。

想像以上に黒字が出て自信がつきましたね。そこでその友人と組んでキッチンカーを出すことになりました。26歳の時でそれが独立の第一歩でした。

海の家でうまくいった経験があったのですが正直そこまで甘くはありませんでした。キッチンカーを購入したものの売る場所も決まっておらず空振りの日々。朝から晩まで働いて売り上げが千円という日もざらにありました。

今振り返ってみると戦略もなく無謀だったと思いますね。でもそこから失敗を重ねて試行錯誤の結果少しずつ売り上げがついてくるようになりました。

すると前職の社長から「こんな案件があるけど受けてみない?」と企業の福利厚生施設の飲食店のプレゼンの機会を得て、運よく落札することができました。

前職で培った経験もさることながら、念願だった自分の力で運営できる喜びが大きかったですね。今では都内の3箇所に宮古島料理店と琉球ケバブ、カフェを運営するほか、飲食店向けのWEB製作事業にも共同参画しています。

社名は「笑い」と「仲間」が集まる環境を創るという意味を込めて「笑億仲(えむおくちゅー)」としました。

飲食業は大変というイメージがありますが、従業員にもしっかり土日休日を取ってもらって働く人にも精神的な余裕を持ってもらい、笑顔溢れる場所にしたいと考えています。

 

やりたい事をきちんと周囲に伝えて

―小谷さんにとって東京はどんな場所ですか?

全国から色んな考えを持った人間が集まる街なのでその分エネルギーや仕事のチャンスも多いと思います。

でもそのチャンスを掴むためには良質な情報のインプットをした上で自分が何をしたいかを発信していく必要がありますね。

自分は色んな失敗もしましたが人に恵まれていたことは幸運だと思います。

やりたい事があれば真剣に計画を練った上で周囲にアピールする。これは今でも続けていることです。

―最後に読者にメッセージをお願いします。

人生100年時代と言われるようになりましたが健康的に過ごせるのは80歳ぐらいまでだと考えています。80年を日に換算すると約30,000日。そう考えると今30歳の僕は人生の3分の1が終わっている訳です。

みなさんはどうでしょうか? 限られた時間の3分の2で社会が、そしてエムオクチューのみんな(社員達)が少しでも良くなるために何が出来るのか。そんなことを考えて行動しています。

誰もが人生に終りはあります。無限ではない有限な人生。普段からビジョンを持って自分の決断で人生の舵を切れるように行動し「いい人生だった!後悔はない」と言うくらいエネルギーを燃焼させ、人生を謳歌してほしいです。

 

小谷貴俊さん
小谷貴俊(こたに・たかとし)

1989年宮古島市生まれ 宮古高校を経て明星大学教育心理学科卒業。 パソナグループフレッシュキャリア社員として勤務後、同グループ福利厚生施設のカフェのマネージャーとして4年間経験を積む。2015年に移動販売やケータリング、福利厚生施設運営をおこなう合同会社「エムオクチュー」を設立。都内を中心に3店舗を手がける。 問い合わせ先:03-4500-7969/ t.kotani@m-okuchu.com

 

平良英之

小谷さん、お話ありがとうございました!

小谷さんにお仕事のご相談・ご提案がある方は、東京うちなんちゅ会まで気軽にお問い合わせください。

 

 

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