2023年1月10日、東京・渋谷にて開催されました沖縄県主催の平和シンポジウム「本土復帰50年に立つ沖縄、沖縄からの平和発信とは」の模様をレポートします。
温かさと熱意に満ちた、とても素晴らしいイベントでした。
<ご案内>
今回のシンポジウムについて
2022年に本土復帰50年を迎えた沖縄がこれから新たに平和発信していく取り組みのひとつとして、沖縄県の主催によって今回の平和シンポジウムは開催されました。
沖縄にゆかりの深い演出家の宮本亞門さん、玉城デニー沖縄県知事、普天間朝圭さん(ひめゆり平和祈念資料館館長)、狩俣日姫さん(平和教育ファシリテーター、株式会社さびら)が登壇され、宮城さつきさん(フリーアナウンサー)の司会によって進められていきました。
「こどもの城合唱団」の美しい合唱で幕を開けたイベントで最初の登壇したのは宮本亞門さん。
沖縄で触れた人々の温かさ、自らが体験したアメリカ「9.11テロ」の衝撃などに触れながら、今の世の中への危機感や平和への思いを語り、それでも前を向いてポジティブに平和な世界を築いていこうと力強く語る姿には、宮本さんらしさが凝縮されてるような気がしました。
宮本さんが大好きな言葉として挙げていた「うむい(思い、共感力)」「命どぅ宝」などのフレーズも改めて心に響くものがありました。
続いて玉城デニー知事、普天間朝圭さん、狩俣日姫さんによるパネルディスカッション。
玉城知事からは沖縄の平和行政の取り組み(平和の礎、平和記念資料館、沖縄平和賞など)のお話がありました。
「沖縄を平和発信の拠点に」「県内外に地道に一歩一歩力強く平和の精神を伝えていく」という熱い思いが伝わってきました。
普天間朝圭さんからは平和記念資料館の館長として感じてきた戦争の悲惨さと平和の尊さをより多くの方に伝えていくという使命感を強く感じました。
狩俣日姫さんは子供の頃に沖縄で毎年学んできた平和学習について「正直、気が重かった」「沖縄戦や基地問題について全く関心が無かった」と若い世代としての正直な思いの吐露から始まりました。
それからやがて「平和学習の尊さに気づき、よりわかりやすく伝える取り組みが必要」との思いに至り「平和教育ファシリテーター」となるまでのプロセスと現在の取り組みを語られていました。
若いウチナーンチュが上の世代からの話や思いをただそのまま受け取るだけではなく、今の感覚で考え、沖縄の平和発信について積極的に新しい感覚でアプローチしていこうとする姿勢には頼もしさを感じました。
そしてシンポジウムの最後に玉城知事が最も熱を込めて語った「沖縄と本土のギャップを埋めるために必要なこと」。
それはまず沖縄の問題は日本全体の問題であると知っていただくこと。
全国の皆様に「自分のこと」として考えていただけるように、選挙権を持つ国民こそ最も大きな力を持っている。その国民の皆様に理解してもらうように根気強く沖縄から平和発信を続けていくとのことでした。
最近タレントのタモリさんが「これから新しい戦前になるのでは」と発言されたように、世界的に物騒な気配を感じている方は多いのではないでしょうか。
そんな時代だからこそ、沖縄が経験してきた悲しい過去を大切な教訓として生かし、思いやりと知恵を持って平和の精神を広めていくことがより必要とされるのだと感じます。
そんな思いを新たにする今回の平和シンポジウムでした。
私たちもまたひとりのウチナーンチュとして、沖縄を愛する者として、平和発信についてできることに取り組んでいきたいと思います。